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夢と奇跡
色々な思い出が詰まった少女が居た。
七年間、繰り返し同じ夢を見た少女が居た。
この夢はそんな少女が抱いていた願望…
「あ、祐一君!」
駅前のベンチに座っていた少女が横断歩道の反対側に見える少年に向かって手を振った。
祐一と呼ばれた少年はそれに答えるべく、急ぎ足で少女に歩み寄った。
年の頃十辺りだろうか、この二人傍から見るとまだ幼さを残している。
そして祐一が少女に近寄り、二人の距離が縮まったとき祐一は言った。
「遅れてゴメン、あゆ」
と。
あゆと呼ばれた少女は遅くなった事に不満そうな顔を見せたが、すぐに笑顔になり答えた。
「いいよ、来てさえくれれば」
祐一はあゆに謝罪の言葉と共に、手に持っていた紙袋をあゆに差し出した。
「もらっていいの?」
あゆが祐一に尋ねた。
祐一が頷くと、あゆは紙袋の中を見た。
中には赤のカチューシャが入っていた。
そしてあゆはそのカチューシャをさっそく自分の髪に付けると、
「ありがとう、祐一君」
と笑顔で祐一にお礼の言葉を伝えた。
照れ隠しか、祐一は
「じゃ、行こうか」
と、あゆの手を引っ張り、二人だけの特別の場所へと向かった。
二人だけの特別の場所、そこへたどり着くと祐一は大木に背を向けた。
「どうしたの?」
あゆが不思議がって祐一に尋ねた。
「いつも通り木登りするんじゃないのか?」
祐一が聞き返した。
その返答にあゆは笑顔で答えた。
「たまには祐一君の隣に座っていたいな」
そして、あゆは祐一の立っている隣に腰を下ろした。
祐一もあゆにつられ、大木に寄り掛かるように腰を下ろす。
祐一が座ると同時に、あゆは祐一の腕に自分の腕を回した。
「初めてだね、こういうの」
あゆが祐一に言うと祐一は照れながら
「そうだな…」
と答えた。
「いつまでも…このままで居られたら良いね」
「どうだろうな?」
あゆの言葉を少しからかう様に祐一が返した。
「うぐぅ、いいんだよ…」
そんな二人のやり取りがスーッとフェイドアウトする。
いつしか二人の顔には笑みが浮かんでいる。
こんな他愛のない夢の繰り返し…
少女はこんな夢を見続けて七年と言う長い年月を過ごした。
そんな七年目の冬、町を離れていた少年が帰ってきた。
運命が導いたのかどうか定かではないが…
二人の距離が再度縮まったとき…
少女は一つの奇跡の下、目を覚ます。
後書き
どうも〜 Palです。
短くてホントにスイマセンでした。
書けと命令されたので仕方なく、ちょちょいっと書いてみました。
私にとってはKanon初SSですが、Kanonは一人一人にエンディングがあるからSS書くの難しいですよね。
何か文も変だし…
氷上の買いかぶり、かなりの物ですよね?
ま、個人的にはSS書くの好きなんで、ちょくちょく書く事になると思いますが…
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