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Waiting for you
「名雪…」
「俺には、奇跡は起こせないけど…」
「でも、名雪の側にいることだけはできる」
「約束する」
「名雪が、悲しい時には、俺がなぐさめてやる」
「楽しいときには、一緒に笑ってやる」
「白い雪に覆われる冬も…」
「街中に桜の舞う春も…」
「静かな夏も…」
「目の覚めるような紅葉に囲まれた秋も…」
「そして、また、雪が降り始めても…」
「俺は、ずっとここにいる」
「もう、どこにも行かない 」
「俺は…」
「名雪のことが、本当に好きみたいだから」
時刻は夕刻時、この言葉を記録された目覚まし時計がもう何十回と名雪の部屋に流れている。
目覚まし時計が流れているからと言って、これを耳にしている本人は寝ているわけではない。
起きるのが面倒で止めていないと言うわけでもない。
一つ言える事は、この目覚まし時計が、聞いている本人、つまりは名雪の腕に収まっている事、そして名雪の目に涙がうっすらと浮かんでいると言う事…
「どうして今告白するの」
暗い暗い部屋の中、名雪が呟いた。
「どうしてお母さんが倒れている今なの」
「七年間、ずっと好きだったのに…」
「告白されて嬉しいのに…」
「今じゃ、嬉しさも半分だよ…」
「…でも…」
「ありがとう、祐一…」
名雪の声が木霊する。
目から出てくる涙を抑える為、顔を伏せる。
するとそこには夢が、名雪を待っていた。
前日から一睡もしていない名雪を、微少の安心感が夢へと運んだ。
夢。
名雪は夢を見ていた。
そこには彼女の母である水瀬秋子が居て…
彼女の従兄弟であり、恋人の相沢祐一が居て…
楽しく笑って…
いつも通り、何ら変哲の無い日常を過ごして…
明るい光の差す未来へ進んでいる。
そんな幸せの日常生活を送る夢を見て彼女は目を覚ました。
腕の中にある目覚まし時計の針は十二時を回っている。
「もう、行かなくちゃ」
名雪はそう呟き、駅前へ急いだ。
今日、一日中そこで待つと言った相沢祐一の下へ…
後書き
どうも風邪気味Palです
風邪を引いてもう3日になりますが、悪くなる一方です。
で、まぁ、さっき雨が降ってきて悲しい気分になったから書いた訳ですが…
多分名雪はこう言う感じで過ごしたんじゃないかなぁ、と思ったのをSSにしてみました。
今まで目覚ましネタはあるのにこういうネタを見なかったものですから、つい…
あ、それとですね、最初はホントにほのぼの〜って感じにする予定だったんですが、あの悲しい雨の音がそれを遮ったわけですよ。
ほのぼのを期待していた皆さんにはすいません。
僕の性格上、やはり真面目系が多くなるのかな、って言ったら氷上は文句言うだろうなぁ。
にしても、風邪引いてるとホントに頭が回らん…
うー、くらくらするんだお〜
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